Lazy Cosy Home 

イギリスでDIY 家改造、菜園、保存食作りなど 土臭くやっています。 

外より寒い家はもう御免。DIYで断熱材を設置する方法

 イギリスで初めて越した冬は、まぁ悲惨なものでした。

家の中にいるだけなのに足に霜焼けが出来きて、スキー用のズボンを履いてたり。
冬の間は家に陽が当らないので、天気の良い日は外で日光の下にいるほうがマシ。
歩いて少し体が温まってから家に帰って来ると、寒っ!!となるなど異常な状況。

「なんて寒い国なんだ!」と思ってましたが、それはイギリスのせいじゃなくて、
この家が寒いのだということに気がつきました。
大抵どこの家でもセントラルヒーターを付けていて、家中どこでもふんわりと
暖かいんですよね。
我が家には天井がないし隙間だらけで断熱材すら入ってなかったから。


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暖かい空気は上に昇っていくものらしいので、いくらヒーターを入れても熱気は
二階に逃げ、そのまま断熱材なしの屋根から外に出て無駄になってしまう。
だから部屋が暖まることはなかったのです。

天井がない状態↓

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ここでは一年の半分は冬なんじゃないかと思える程に寒い期間が長いので、
家の防寒対策は非常に重要です。
なので私達は応急処置としてバブルラップのシート(割れ物を包むプチプチの巨大版)を義父の農場から拝借し、家中の天井や壁がない箇所にステイプラー(平面に使えるホチキスの強力版)を使って貼り付けました。
空気が間にあると熱を保持できるのだとか。ダンボールが暖かいというのと同じことでしょうか。
改めて屋根裏の様子を見て驚きましたよ。
木枠と屋根瓦の間にはブルータープみたいな素材のペラペラのシートが付いてる
だけで、そこらじゅうに穴が空いていて風を感じました。

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※写真は設置後

このシートは何?付け替えた方がいいの?といろいろ調べたんですが、特に必要ではないようで、たぶん建設中に屋根瓦がない間の雨や埃よけなんじゃないかと。

 

屋根に断熱材を設置する方法 

木枠の上から断熱材そのままの大きさで取り付ける方法もありますが、
それだと木枠+断熱材の厚さになるので大幅にスペースを使うことになります。
その方が断熱材をいちいち切らなくて済むので簡単そうですが、
我が家の場合は屋根裏部屋を使用したいので、木枠の形に断熱材を切ってはめ込むことにしました。

購入する

以前はinsulation rollという綿みたいなものが付いていましたが、
今は板状(Insulation Board)が主流です。
まずは屋根の内側全体の長さを計り、大体の面積を計算しました。
2400mm×1200mmの大きさの物が何枚必要になるか割り出します。

木枠の表面からの深さを測ります。
屋根と断熱材の間に少しスペースが必要なので、その分を考慮して厚さを決めます。
厚さは50mmから100mmまでいろいろありますが、通常は60-70㎜だそう。
もちろん厚い程良く、価格も比例します。

私達は50mmの物を購入し、30mmの空間を残すようにしました。
できるだけ厚くしたいという場合は、各枠の間に平らな木材などでストッパーを付けておくと良いかと。

こちらで購入しました。
Celotex GA4000 Insulation Board | Insulation | Pitched Roof Insulation | Insulation Boards | | Insulation Express

木枠の大きさを測る

 屋根の長さは5m近くもあったので、取り扱いしやすいように4つのセクションに分けました。

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それぞれのセクションの長さを決め、上の幅と下の幅をミリ単位で測ります。

見た目は真っ直ぐでも結構曲がっていて、偶に2cmも違うこともありました。
“二度測って一度切る”という言葉もあるらしい。
確かに後でちょっとだけ切る方が大変なので、なるべく正確に測ります。
枠ごとに番号を振り、上下の幅をメモします。

切断する

私達は下のセクションから順に始めました。同じ長さで板の無駄が減ります。

普通のノコギリを使用しましたが、歯を痛めるので古い物を使ったほうが良い。
上下の幅に沿って線を引いてから切断します。

小さいと隙間ができて効果が薄れるし、落ちてきてしまいます。
ほんの1、2ミリ大きめくらいの気持ちで切るとちょうど良いです。

左右の端を少しだけ糸鋸で角度をつけておくとはめやすい。(かなり手間)
枠ごとの番号と上下を板に書いておくと後で混乱しないので便利。
一気に全て切らずに、始めは数枚ずつ様子を見ながらやると失敗が少ないです。

設置する

木枠の表面と平行になるようにはめ込みます。
ぴったりの大きさになっていれば手でノックするだけではまりますが、
大きい場合は、平たい板を挟んでゴムハンマーで少しずつ叩きます。
これは一箇所に力がいかないようにするため。押し過ぎ注意。
余りにも簡単に入ってしまう場合は、小さ過ぎるかもしれません。
ちょっと押し込まないといけないくらいが丁度良いです。

ほとんどは普通の四角ですが、柱が組み込まれている箇所は変形しているので、
角度もつけて切らなくてはいけません。
プロは全て測ってやるのでしょうか?わかりませんが、旦那はほぼ勘でやってました。何枚か失敗しましたけど。
枠に合わせながら糸鋸で少しずつ切って形を作りました。


フォームで固定する 

設置が終わったら、expanded foamというスプレーを全ての間に付けます。大量の泡が出てきて時間が経つと固定します。24時間以上経ったら、糸鋸で平行にカットします。思いっきりはみ出て床にも落ちますが、後できれいに取れるので大丈夫です。乾く前に下手に触ると余計に散らかります。
但し服や肌にはこびり付くので、必ずグローブと汚れてもいい服で作業すること!
手がゴワゴワになり、金たわしでこすりまくっても取れずに数日ついたままでした。

以上、私達は三日間フル稼動しました。

費用は£400程でした。
家の広さにもよるけど、通常£1000-1500掛かるらしいです。

 

義父と我が家とスクウォット

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 ここへ越してきて二年半経ったもの、未だ半壊状態のこの家。
元は仮住まいのつもりでいましたが、あと数年はここに住むことにしたので
もう少しまともにしていくことにしました。

我が家は本来であれば寝室が三つある立派な家です。
こちらでは典型的なタウンハウスと呼ばれる連なった作りの建物で、壁と煙突を隣と共有していますが中は一戸建てとそう変わりません。
しかし二階は全く使える状態ではないので、一階スペースでのみ生活しています。
我が家と言ってますが、実際ここは旦那のお父さんの持ち家です。

この家に住むことになった成り行きですが、
当時の私達は長い旅を終えたばかりでまだ結婚など考えておらず、とりあえず私の観光ビザが切れるまでは彼の地元に滞在するというつもりでした。
始めは義母の豪勢な家に居候させてもらっていましたが、お互いに気も使うのでそう長くは居座れません。そこで旦那から、「ボロいけど家賃なしで誰も住んでいない父の家がある」と提案があったので早速見に行くことに。
同じ町内のメインストリート近くにその家はありました。思ってたよりもちゃんとした外見だったので、期待しながら中へ入って見ると

そこはまるで廃屋の様でした。
埃まみれで、汚れた服や食器など雑多な物が散らばっている。
壁のペンキは剥げ落ち、漆喰が崩れて剥き出しになったレンガが見える。
床から釘が飛び出し、天井すらない所もある。
……夜逃げか?それとも何か不吉な事が…と連想させる程に廃れている。 

「こんな状態だから家賃を払う必要などない」と言う旦那。
以前の私でしたら、こんな廃屋に住めるか!などと言ってたと思いますが、
これまでの数年間はバックパッカーのたこ部屋、キャンプや車の中などで
暮らしてきたお陰で、輪を掛けて土臭く逞しくなった私は、
「屋根と電気にプライベート空間まであるだけマシ」と思えるようになりました。
タダで住めるのなら、何とか住めるようにしようと頑張ることにしたのです。

さて、この家がなぜこんな状態なのかと言うと。
旦那が産まれた30年程前、義父と義母はバーゲン価格だったこの家を見つけ、
改築して高く売ろう!と投資目的で購入しましたが、勤め先の農場に家を持っているのでここには引っ越してきませんでした。
元々この計画は義母の勧めが大きかったようですがその後離婚してしまい、
スーパーマイペースな義父が本気で改築に取り掛かる日はやってきませんでした。

これまで義父の子供達4人(旦那の腹違いの姉と兄三人は10才以上年上)、
前の奥さんとその新しい家族、農場で働くポーランド人達などが住んできました。
旦那も学生の頃は空き家だったこの家でパーティをしたこともあるとか。

何年か前にしっかり者でガス管関係の仕事をしている長男の義兄が見かねて、
やる気を出しました。家中にセントラルヒーターを設置し、台所やバスルーム、
窓枠やドアなどを新しい物に付け変えました。
しかし働き者だが、家の事に関しては時間もお金も使いたくない義父。
今後の計画や費用の相談をしてもなかなか進みません。
なので結局、忙しい長男は匙を投げてしまいました。

その後は三男が引き継ぐ事に。
設備は一新されても1930年代に建てられたこの家は至る所に限界がきていて、
家全体の改修が必要でした。
彼は何年かの間ここに住み、壁の漆喰や天井を取り外すなどしてきたようですが、
長男のようにしっかり者ではない三男は、何故か全てを放ったらかしたまま
どこかへ去ってしまいました。

それから更に数年が経ち、この家に住むことにした私達の最初の仕事は、
三男の残した薄汚れた荷物や食材、ベトベトに油の固まったオーブンなどを
片付けることから始まったのです。

私はここに住むことを“合法スクウォット”と呼びました。
スクウォットとは何らかの理由で所有者がいなくなった廃ビルや空き家などへ
勝手に住みつき、占拠してしまう事です。 
私達はもちろん所有者に認められていますが、気分的にはそんな感じでした。
というか実際にこの家でも、以前に誰かが勝手に寝泊りしていた形跡を見つけた
ことがあるらしい。

あの頃に比べると百倍は良くなったと思いますが、必要最低限しか着手しておらず大きな改装はしてないので現在も普通の家と呼べるような状態ではありません。

「義父は今後この家をどうするつもりなのか」
というのはもはや一家の謎となっています。わかっているのは、
“これからもこの家に住む予定はなく、空き家であるよりマシなので私達が住むことにも異存なし。“ということだけ。
いつかは改築を完成させ売るつもりでいるようですが、なぜか誰にもはっきりとした事を明かしてくれません。

とまぁ失礼なことばかり言ってきましたが、凄くいい人でちょっと変ユニークな義父にはお世話になりっぱなしなので、感謝の気持ちしかありません。

旦那のDIY精神と手先の器用さは義父譲りでして、“工具の図書館”と呼んでいる程
彼の家には何でも揃っており、廃材その他いろいろな物を譲ってもらったりと
よく助けられています。
彼がマネージャーを務める農場は、以前かなり大規模な場所でした。
80年代にはひとつのグリーンハウスが世界一大きいとしてギネスに載った事もある程で、外国からの労働者もたくさん来ていましたが、段々と縮小していき昨年ついに閉鎖することが決まってしまいました。
とても残念ですが、そのような状況なので農場で使われなくなったあらゆる物を
使用できる環境なのです。

何だかんだやっているうちにこの家にも愛着が沸いてきたし、(あとタダだし)これから数年の間も住ませてもらうことになりました。
なので家の事について義父といろいろと相談したいこともあり、お礼も兼ねて食事に誘っているのですが、やはりなかなか時間を取ってくれません。

そんなことを経験者である長男の義兄にこぼしたところ、
「マックス(飼ってる犬)に何かあげる物があると言って呼んでみたらいいよ」
と言われて、なんでやねんと思ったら
奥さんと子供以外には協力を惜しまない
と家族内でジョークになっているとか。やっぱりちょっと変わった人であります。

 

イギリス人にDIY根性を触発された経緯

古い家をDIYで改造しながら住む。

というのは素敵な響きで、東京の小さいアパートに住んでいた頃は夢みてました。
イギリスにあるこの家でそれができる環境になったのですが、夢想していた通り
「好きなように間取りを変えて、家具や内装もオシャレに統一したい!」
みたいなものはまだまだ先の話でして、欠陥だらけの家を自分達で何とか住めるようにするということをやっています。

以前は電動ドリルなど使ったこともなかった私は助手に回るのみですが、メンテナンスの仕事もしてきた旦那はこれまでも自分でいろいろとやってきたようで、初めての事もいろいろ調べながら作業しています。

事の始まりは旦那と知り合って間もない頃、使っていたおんぼろ車の排気口が壊れました。修理屋に行くのだと思っていましたが、彼が「中古のパーツを探して自分で直す」と言うので、DIYに縁のなかった私はびっくりしました。
本当に自分でやるつもり?と半信半疑のまま、スクラップヤードという廃車が山のように積まれた場所へ連れていかれました。

ここで同じ型の車を探し、まだ使えそうなパーツを自分で取り出すとのこと。
工具も持参して来た旦那は車の下に潜り込んで作業をし、手が油まみれになりながら取ってきたパーツを店の人に見せ、これいくら?という何とも適当なビジネス。当然タダみたいな金額で購入できました。

結果いろいろとありながらも見事に直してくれて、その後もブレーキやらステアリングやら壊れては直し、廃材を見つけてきて車の後ろにベッドを作ったりもしました。

こんなことをするのは旦那くらいなんじゃないかと思っていましたが、こちらに来てから自分で家や車などを修理する人の多さに驚きました。

DIY という言葉はイギリスが発祥らしく、マニアックな工具や部品などを売るチェーン店がいくつもあり、普通のホームセンターにトイレやキッチンなどが持ち帰って自分で取り付けられる様に売られてます。
例のスクラップヤードにもヒールをはいた婦人が車のパーツを買いに来ていたのを見たことがあります。(そこは店の人がパーツを取り外す所でしたが)
普通の家にも工具用の小屋やグリーンハウスがあったりします。見事な庭を作り上げたり、家を改築する人もいたりと本気な人が多いんじゃないかと思います。

もちろん皆がやる訳ではないでしょうが、例えば壁のペンキを塗り変えるくらいは割かし誰でもするみたいです。

 私もこちらに来てから裏庭で野菜を育てたり、保存食や日用品などを作るようになりました。元々興味はありましたが、始めたきっかけは、必要に迫られてという感じ。
日本の食材が手に入りにくいのはもちろんのこと、近頃は怪しげな成分とか農薬、流通などのシステムも気になる。そんなことを言ってれば普通の店じゃ何も買えない。
ネットで良い物も売ってるけど、全部揃えられるほど懐に余裕などないわ!と、あーだこーだ文句ばかり。

だったらもう自分で作るしかない。という、割とネガティブな理由でした。

家の改造にしても、安く済ませようとすれば適当な仕上がりになるから自分でやった方がマシ、と似たような理由があります。やってみてわかってきましたが、手を抜こうと思えばいくらでも抜ける。
良い職人に頼めばそんなこともないでしょうが、やはり値段も比例するものです。

特に修理や改装などは人件費が主ですから、自分でやれば費用が大幅に削減できるというのが大きいですね。

日用品なんかは“100円で売ってる物が30円で出来た”程度の可愛いものですが、
家や車は“1万円掛かる所を3千円で出来た”となる。
内容によっても変わってきますが、スケールが大きくなる程違ってきます。

当然DIYでやれば手間も時間も膨大に掛かるし、失敗することもありますが
全て自己責任ですから誰にも文句は言えません。

その分、自分で作業した物はどういう過程で作られたのか知れるし、
経験値が少し上がった気がする。大切にしようという心も芽生えるものです。

 そんな訳で、出来そうな物はなるべく自分でやっていくことにしました。

便利な世の中になったもので、大概のやり方や情報はネットで検索すれば出てきます。たくさんの見知らぬ方にお世話になったので、私も誰かの役に立てればと思いブログを始めました。